【B-PASS 2001年10月号】

飾らない人、である。音楽が好き、バンドが楽しい、なんだかそこ以外どうでもいいんじゃないか、そう思えてきて、それがすごく嬉しくてすっかり話し込んで しまった。初恋の嵐はそんな人達である。

●「バラードコレクション」に'70年代のサイケ感を感じたのですが。
西山:「そうですね。'60年代とか'70年代の音が大好きなのは前提として、最近は自分が聴いてきた音楽が全部OKになってきたっていうか。小学生のと きに聞いてたサザンとか、思春期に聴いてた尾崎豊までOKになってきた感覚が」
●だからかな。「Untitled」は曲としての心地よさの方が印象に残るというか。
西山」「"バラード〜"の時は、あえてロック幻想の中で楽しみ方というか。今回h一歩ひいてポップなものも作りたい。その中にちゃんとロック感みたいなも のも凝縮したかったんだけど」
●ということは前回と今回では録り方も大分変えたのでは?
隅倉「録音は全部僕がやりました」
●凄いですねえ。
隅倉「(照)いやあ、単に好きなだけなんですけどね。普通のリハスタとかでできるので、コスト的にもいいじゃないですか。レコーディング・スタジオ使うよ りも安いし、時間も全然使えるし」
西山「彼がわりと物事を客観的にひいて見る人なので、バンドの人格も大人になりました、ちょっと」
鈴木「前より厳しくなりましたね(笑)。ただエグくてドロドロしてるのが出さえすればいいんだ、自分らのままでいいんだみたいに言ってきたものが、スミ (隅倉)くん入った時に、それだけじゃ足りないと。考えたらやっぱり言うこと聞いた方がいいなって(笑)」
隅倉「もっと大勢の人にひっかかってもらえる為に、しなくちゃいけない事があるな、と」
●何やら頼れるお兄さん的な。
西山「そうですね・・・・・・顔に説得力があるんで(笑)。本当っぽいから2人とも従わざるをえない」
隅倉「山城新伍っぽいな(笑)」
●(笑)結果普遍的なメロディがより前に出て聴きやすくなった反面、詞は毒々しくなったという。
西山「そうですね。そこがちょっと遊びというか。結構悲惨なんですけど(笑)、絶望的な内容をメロディが助けているというか。切ない感情だったり、悲しい 感情だったりがわりと気持ちよくなる感じって、誰でもあるんじゃないかと・・・・・・普段生活していて、そこまで喜怒哀楽って無かったりしていて。そのフ ラットな中のささいなことに意味づけしてそれによって歌ができていく、そういう感じかも」
●じゃ、普段はあまり感情的ではない?
鈴木「うん。あんまり表すことはないですね。おちゃらけてごまかされてって感じ。でも嘘臭い性格な分だけ(笑)、演奏面では逆なものが見える」
西山「うん。まあ、そうだね。唯一、照れずに済む場所っていうか」
●実は結構さらけだしてますよね。
西山「そうですね。だから、さんまが大竹しのぶネタとか、自分を傷つけながらやってるじゃないですか。ああいうのも共感できますもんね(苦笑)」
●さらけ出すと気持ちいいもの?
西山「いや、それが、ここまで素になることって、これまでの手持ちのカードにない感覚だったので。これまでの蓄積じゃないものでやってかなきゃいけな い・・・・・・大変だなあとか思っちゃって。実は録った後が大変な時期だったというか」
隅倉「でもそういう時にさぼらずに練習とか一生懸命やったことによって、すごいいい感じになって」
西山「そうするとまた歌の世界にちゃんと入れるようになったり。・・・・・・まあ練習さぼらないとか言っておきながら、彼は今日2時間遅刻してきたんです けどね」
隅倉「すごく説得力がない(笑)」
●その辺も山城新伍・・・・・・。
隅倉「そう、新伍イズム(笑)」
●しかし、ぶっちゃけますね(笑)。
西山「僕らどこまでぶっちゃけられるかがテーマですからね」
隅倉「本当にそうですよ。だからこのバンド、すごい楽なんです」

(文●諸橋久美子・編集部)

*原文ママ掲載


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